「事務職として働いているけど、よくミスを怒られる」
「自分に事務職って向いてるのかな?」
書類作成やデータ管理をこなす事務職の方の中には、ミスが多い、上司から叱られるといった理由で本当に事務職として働き続けるべきか疑問に感じている人もいるでしょう。
この記事では、事務職として働くことに自信をなくしている方向けに、事務職に求められるスキル、向いていない人の特徴を紹介します。また、事務職に向いていない人の適職・転職先・社内異動先も解説しているので、自身の職業を見直す参考にしてください。
事務職の種類や必要スキル
まず「自分は事務に向いてないのか?」と不安を持つ方に向けて、事務職で必要なスキルを整理しました。
代表的な4つの働き方を挙げているので、自身の働き方にあてはまる項目をチェックしてください。
①一般・営業事務に必要なスキル
データ入力や電話対応といった事務作業全般をこなす「一般事務」、営業担当者の補助や書類整理等をこなす「営業事務」に必要なスキルは次の通りです。
- PC操作
- 作業処理スピード
- タスク管理
- スケジュール管理・調整
- コミュニケーション
一般・営業事務は、Word・Excelといったパソコンソフトや自社独自のシステムを使いながら、膨大な書類の作成や管理をしなければなりません。そのため、作業の迅速性が求められ、タスク管理やスケジュール管理の徹底が重要です。
また一般・営業事務は、他の部署よりも社内コミュニケーションの多い仕事でもあります。他部署から書類作成といった指示を受けて業務を進行する場合もあるため、会話力の高い人ほど働きやすい職場です。
②経理事務に必要なスキル
「経理事務」では、会社のお金に関わる次のスキルが求められます。
- 税金・保険の知識
- 作業の正確性
- 計算力
- タスク管理
- スケジュール管理
会社は従業員の給与を支払う立場にあるほか、税金を代わりに収めなければなりません。そこで発生するのが、勤怠管理や給与計算、年末調整といった作業です。
経理事務は簿記や税金、保険の知識が必要になります。従業員数が多い会社であるほどタスク管理や計算力の正確さを求められ、月末にかけて業務が忙しくなるのが特徴です。
③人事・労務・総務事務に必要なスキル
「人事・労務・総務事務」は、会社の雑務や労働環境の管理、勤怠管理など、会社をバックアップする仕事です。それぞれ異なる仕事ですが、どの事務職にも次のスキルが求められます。
- コミュニケーション
- 作業スピード
- 従業員の管理
- 計画性
従業員をフォローアップして働きやすい環境を整備するのが、人事・労務・総務事務です。従業員と会話を交えながら、管理に関わる業務を進行します。また、部署ごとの要望をヒアリングして人材の補充を検討するなど、計画性が求められるのが特徴です。
④社長秘書に必要なスキル
社長の仕事をそばでサポートする「社長秘書」も事務職に該当します。社長秘書に求められるのは、主に次のスキルです。
- 作業の正確性・スピード
- コミュニケーション
- タスク管理
- スケジュール管理・調整
社長秘書の場合、社長から指示されるすべての作業をフォローしなければならないため、柔軟性が求められます。特に社外に出る機会の多い社長の秘書をする場合には、タスク・スケジュール管理が欠かせません。
事務職に向いていない人の特徴
事務の仕事は多岐にわたりますが、必要なスキルは共通しています。
参考として、事務職が向いていない人の特徴をまとめました。なぜ事務職を続けるのが辛いと感じるのか、その原因を再確認してください。
①社内コミュニケーションが苦手
事務職の場合、ほとんどのケースでコミュニケーション力が求められます。なぜなら事務職は、会社の売上を作り出す現場の従業員をフォローするのが仕事だからです。
例えば、契約書類の作成や経費の処理など、会話によって業務の依頼が発生することが数多くあります。コミュニケーション力が不足していると、従業員とうまく連携できず作業が滞るケースがあるため、コミュニケーションが苦手な人はミスが多いほか、社内での衝突が起きやすいのが特徴です。
②情報管理や計算が不得意
事務職では、パソコンを使って書類作成・計算処理などを実施しなければなりません。そのため、情報管理・計算が不得意な人は仕事のミスが増えやすいことに注意してください。もしミスが起きると、次のリスクが発生します。
- 金額ミスで業務トラブルが起きる
- 書類作成が遅く取引先に迷惑をかける
- 誤発注により損失が生まれる
また作業に時間をかけすぎることにも注意が必要です。提出の期限が決められている作業も多いため、素早く雑務をこなせない人は事務トラブルが起きやすいでしょう。
③同じ作業を継続できない
事務職では、毎月・毎年のように繰り返し作業が発生するため、同じ作業の繰り返しが苦手な人は、仕事を続けることに辛さを感じます。次のような仕事でストレスを溜めている人は注意してください。
- 電話の取り次ぎが面倒である
- 同じ依頼にイライラする
- 大量のデータ入力で頭が痛くなる
特に日報集計や経費処理は、同じ作業の繰り返しでありながら労力がかかりやすい仕事です。ルーティンワークにやりがいを感じない場合には、事務職が向いていない恐れがあります。
④作業を大雑把にこなしてしまう
「細かい部分を気にしない」「チェックするのが面倒だ」と考えてしまう大雑把な性格の人は、事務職でミスや問題が起こりやすくなります。なぜなら、事務職は数字の正確性が求められる仕事だからです。
事務職の仕事の多くは、契約書類の作成、勤怠管理、備品発注といったお金に関する業務です。このとき大雑把な性格が影響して数値にミスがあれば、大問題に発展しかねません。
例えば、「従業員から給与計算が合わないとクレームが来た」「備品発注数のケタを多くしてしまった」といった経験が多い人は、事務職が向いていない恐れがあります。
⑤社内情報を話したくなる
社内情報を家族や友人に話してしまいたくなる人は、事務職に向いていません。なぜなら、事務職では機密情報を知る立場にあるからです。
機密情報が漏えいすると、会社にとって損失が生まれる恐れがあります。中には競合他社に情報を知られて企業経営が傾く場合もあるため、口が軽い人が事務職で働くのは相性がよくありません。
⑥複数の業務をまとめて実施するのが苦手
「ひとつの作業に集中すると、別の作業を忘れてしまう」「複数の作業を同時に進めるのが苦手だ」というシングルタスクの人は、事務職の仕事でミスを起こしやすいと言えます。
事務職は複数の作業をまとめて依頼されるケースが多いため、自分でタスクを組み立てて働かなければなりません。しかし優先順位をうまく決めて働けない人の場合、仕事が遅いと怒られるケースもよくあります。
事務職はマルチタスクの人のほうが働きやすい仕事です。シングルタスクでありミスを連発しているという人は、事務職が向いていない場合があります。
HSP・ADHDは事務職に向いていない?
事務職として働く際には、自分がHSP・ADHDなのかを見直すことも大切です。精神的な病気であるHSP・ADHDを発症していると、事務職でミスや問題が起こりやすくなります。
例えば、感受性が敏感で心のダメージを受けやすいHSPの人は、大勢の人がいる職場で働くのが苦手な傾向があります。積極的なコミュニケーションを求められる事務職では、精神的に疲弊しやすいことに注意しましょう。
また、順序立てて考えるのが苦手、注意力散漫になりがちなADHDの人は、細やかで正確な作業が求められる事務職でミスしやすいのが特徴です。数値情報を扱う事務職との相性が悪いことに気を付けてください。
さらにHSP・ADHDの人は、同じ空間で働くのが苦手です。事務職は内勤であるため、HSP・ADHDの人が得意とする「行動力」を活かしづらい職場だと言えます。
事務職に向いていない人の適職・転職先とは?
自分が事務職に向いていないと感じた人は、適職を見つけるために転職を視野にいれるのがおすすめです。しかし、自分に向いている転職先がわからないと悩む人もいるでしょう。
参考として、事務職に向いていない人向けの適職・転職先を表に整理しました。
事務職に向いていない人の特徴 | おすすめの適職・転職先 |
コミュニケーションが苦手な人 | 製造業・建設業 |
大雑把な性格の人 | 接客・販売・飲食業 |
事務が向いていないと感じる女性 | 製造業・接客業 |
例えば、事務職でコミュニケーションにつまずいているのなら、人との会話の少ない製造業・建設業を選ぶのがおすすめです。業務連絡といったシンプルな会話だけで済むため、ストレスを溜めずに働けます。
また、大雑把で細かいチェックなどが苦手な人は、体を動かしてコミュニケーションを取れる接客・販売・飲食業がおすすめです。あえて事務作業の少ない仕事を選ぶことにより、自身の本領を発揮しやすくなります。
さらに事務職が苦手な女性は、コミュニケーション力が高い人・低い人の両極端な場合があります。そのため、物事に没頭するのが好きな人には製造業、コミュニケーションが好きで積極的にお客様と関わりたい人には接客業が適職です。
事務職に向いていない人が社内異動する際の適職
転職をせずに、社内異動で問題を解決したい人も多いでしょう。もし事務職に向いていない人が異動するのなら、次の部署を選んでみるのはいかがでしょうか。
おすすめの社内異動先 | おすすめの人 |
法務部門 | ・数字を扱う業務が苦手な人
・書類作成や整理が好きな人 |
広報・企画部門 | ・積極的にアイデアを出したい人
・定型業務が苦手な人 |
マーケティング部門 | ・情報処理や分析が好きな人
・自分の考えを業務に反映したい人 |
事務職が向いていない人は、コミュニケーション・定型業務という部分に苦手意識を感じている傾向が多いです。
そのため、コミュニケーションが苦手であり、地道に書類作成や整理に没頭したいのなら法務部門に異動するのが良いでしょう。ただし法律の知識を学ぶ必要があります。
また、定型業務にストレスを溜めているのなら、自分のアイデアを仕事にできる広報・企画部門に異動するのがおすすめです。さらに情報分析が好きなら、マーケティング部門を選択肢に加えるのも良いでしょう。ですがどちらの部門も、責任感を問われる仕事だということに注意してください。
もしどの部門も自分向きではないと感じたのなら、転職エージェントといったプロに相談するのがおすすめです。性格診断などを経て、自分の適職を提案してもらえます。
まとめ
事務職に向いていない人は、社内コミュニケーションや細かな書類チェック、繰り返し作業に苦手意識を持つ傾向があります。また、HSP・ADHDといった精神的な問題を発症しているのが原因で事務職を続けられない人がいるのも事実です。
もし事務職でミス・問題を起こしやすいとお悩みなら、座り作業が中心の仕事ではなく身体を動かして働ける業種や、逆にコミュニケーションが多い接客関連の業種に転職・異動することをおすすめします。活動時は転職エージェントのサポートを受けられるため、初めての転職でお困りなら、専門家に相談してはいかがでしょうか。