「黒服の仕事はきついって聞いたけど本当?」
黒服(ボーイ)は、夜の仕事であるため「稼げるけどきつい」といった印象が一般的にあります。
黒服のバイトや夜の仕事への転職を検討している人の中には、普通の接客業と違いや、具体的にきついことが何か気になっている人も多いでしょう。
当記事では、黒服経験者である筆者の体験談を踏まえつつ「黒服がきついとされる理由」や「実際の仕事の流れ」について包み隠さず解説します。
また、「こんな店舗はやめておけ!」といった内容も記載しますので、黒服からの転職を考えている人も是非参考にしてください。
黒服の仕事はきついがやりがいもある
黒服経験者としてお伝えすると、黒服はきついもののやりがいがある仕事です。
きついとされる主な理由は、立ち仕事が多い接客業であり、酔っぱらったお客様の対応をすることが多く、体力・精神の両方を消耗するといった点になります。
ですが、どの仕事にも共通するように、大変なのは業務に慣れるまでです!
美人揃いの夜の蝶と綺麗な空間で仕事ができますし、学歴や職歴に関係なく頑張りが認められやすいので、黒服はやりがいがある仕事と言えるでしょう。
人を喜ばせるのが好き、という方に黒服はピッタリの仕事ですよ。
黒服の現実|きつい理由5選
仕事に苦労はつきものですが、何がきついのかわからないままだと、そもそも「自分に黒服は向いているのか?」という判断ができないですよね。
ここでは、「黒服がきつい」といわれる代表的な理由を5つ紹介します。。
- キャバ嬢はお姫様で黒服はしもべ
- 黒服同士は険悪になりやすい
- 夜中心で不規則な生活
- 立ち仕事だから体力勝負
- 将来に対する不安
キャバ嬢はお姫様で黒服はしもべ
キャバクラ上はキャバクラにおける商品ですので、すべてにおいて優先される大切な存在です。
そのため、キャバ嬢は黒服を下にみる傾向が強く、蔑ろに扱ってくることは日常茶飯事。
しかし、黒服が商品である彼女たちを傷つけるような行為はどのような経緯であっても許されません。
黒服はキャバ嬢の忠実な部下として、さまざまな要求に迅速に応じることが必須となります。
また、ナイトワークではキャバ嬢を「キャスト」と呼びます。業界用語ですので覚えておきましょう。
黒服同士は険悪になりやすい
上下関係がすべてであるキャバクラにおいて、黒服同士は険悪になりやすいです。
なぜなら主役はキャストであり、黒服は雑務を担当する影の存在。ところが多くの男性はプライドが高いので、先輩は後輩にマウントをとろうとする傾向があります。
筆者の入店初期にも2か月ほど先に入店していた先輩がいたものの、トイレ掃除や細かい灰皿交換などもせず、インカムで指示のみ。何もせず、ただ店内を徘徊するだけだったので、先輩の権力を勘違いしているタイプでした。
実はこのタイプ、どの店舗にもほぼいます。サボる人は業種関係なく一定数いますが、1店舗における黒服の人数は数人程度なのでまじめスタッフの被害はより大きく、業務過多で毎日スーツの下は汗びっしょりでした。
結果としては、店長にサボっていることが伝わり先輩黒服は退職することとなりましたが、同じ黒服としてお互いが気持ちよく働けるように、思いやりをもつことが大切です。
夜中心で不規則な生活
キャバクラ勤務は不規則な生活になりがちです。
多くの店舗が夜の時間に開店し、深夜まで営業。閉店作業をしていて朝帰りになるのは、よくあるケースです。
筆者の場合は店舗の開店が20時でしたので、18時に出勤し開店作業。そして、0時すぎてから閉店作業を開始。
キャバ嬢の介抱など、その日の状況によりますがだいたい2時くらいに作業が完了します。その後、最後の送迎車で帰宅するので、朝の4時や5時ぐらいに帰宅していました。
キャバクラの平均的な開店時間は20時前後、閉店時間は「ラスト」と表記されているところが多く、すこし表現を濁した時間に閉店をしている店舗が大半です。
また、常に夜勤をしているのと同じなので、体調を崩さないように気をつけましょう!
立ち仕事だから体力勝負
黒服の業務はほとんどが立ち仕事です。 狭い店内を歩き回りキャバ嬢のサポート。悪質なお客様がいればキャバ嬢を助けることも黒服の業務になりますので、体力は相当消耗します。
休憩は交代制の店舗が多いものの、決まった時間にとれないと思っておくほうがいいでしょう。担当エリアを守り、キャバ嬢を全力でサポートしなければいけません。
将来に対する不安
夜の仕事である以上、「この業界でずっとやっていくのか?」という悩みがでてきます。
夜中心の生活となるために時間が合わず友人と疎遠になる、家族や知人に堂々と自分の職業を言えない、ということもあるでしょう。
さらに、キャバクラを始めとした水商売は廃業率が高く、3年以内に90%の店舗が閉店しているというデータもあるくらいに、厳しい世界です。
筆者は黒服のバイト時代、ある地域の地区長から店長に推薦されたことがあります。
しかし、安定した職業に就きたいという気持ちがあり、ありがたい話でしたが断りました。
ただ、黒服は頑張りが認められやすい仕事であり、昼間のバイトよりも高収入なのでガンガン稼ぎたい人にはおすすめです!
要確認|キャバクラ勤務で注意すべき点
キャバクラで黒服勤務をするにあたって、事前に確認すべき注意点があります。入社を決めたあとでは遅いので、事前にチェックしておきましょう!
- 違法営業をしていないか
- 客引きのキャッチ行為をしていないか
- 雇用内容は明確に説明されているか
- お客様の入りは安定しているか
上記4点の視点から解説していきます。
違法営業をしていないか
まず、自分が働きたいと思うお店がキャバクラの運営に関わる風営法に違反していないかチェックしましょう。
たとえば、未成年者を雇っていたり、法律で定められている営業時間を守っていなかったりする店舗は営業停止・摘発リスクがあるので注意が必要です。
なお、風営法では以下のように営業時間が定められています。
「風俗営業者は、深夜(午前零時から午前六時までの時間をいう。以下同じ。)においては、その営業を営んではならない。ただし、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、次の各号に掲げる日の区分に応じそれぞれ当該各号に定める地域内に限り、午前零時以後において当該条例で定める時までその営業を営むことができる。」
引用:風営法第十三条
実際には深夜まで営業している店舗もあります。
お客さんが深夜0時すぎに店舗から出入りしていないかをみるといいですよ!
客引きのキャッチ行為をしていないか
客引き(キャッチ行為)は、「風営法」と「迷惑防止条例」の違反となります。たとえば、路上で通行人の妨げになるような声かけをすることは禁止されています。
ただ、「店前」の声かけは摘発されにくいようで、筆者が勤めていたキャバクラも店前を通る人に対しての声かけだけをやっていました。
明らかなキャッチ行為をしていないかは、店前を通るだけでも見抜けますので、必ず確認するようにしましょう!
また、客引きキャッチをおこなった人への罰則は風営法第52条に記載されており、「6ヶ月以下の懲役」か「100万円以下の罰金」となります。自分の身は自分で守りましょう。
雇用内容は明確に説明されているか
黒服も他の仕事と同様、面接時に雇用条件の説明があります。時給・労働時間・業務内容について、雇用契約書と相違ないか必ず確認しましょう。
夜の仕事は実力主義である一方、ブラックな側面があるため無賃残業が当たり前の店舗も多く存在します。
筆者はサービス残業で閉店作業をしていたので、皆さんはそうならないよう注意してくださいね!
お客様の入りは安定しているか
黒服としてガッツリ稼ぎたい場合、客入りが多いかの見定めは重要です。
お客様がそもそも来店されなければ、店舗は経営できません。
祝前日などは来店の見込みも高いのですが、平日でもある程度集客がないと店舗は維持できません。
そして、常にお客様の集客ができている店舗は売上も伸びているということですので、キャバ嬢は自然と待遇の良い店舗に移動します。優秀なキャバ嬢がいなくなれば、おのずと来客も減るという負のスパイラルにはいり、店舗維持は困難になるというわけです。
ちなみに、筆者がはじめて勤めた店舗は新規オープンから1年半で閉店し、近隣の姉妹店舗と合併しました。このように、集客できないキャバクラの短期閉店は日常茶飯事です。
集客状況を確かめるには店舗前の路上から目視か、現役黒服に直接聞く方法が有効です。大口のリピート客である社長や役員クラス、芸能関係者の高額所得者がいれば安定した売上がある店舗と言えますよ。
黒服は稼げる!働くメリット5選
店舗によって待遇は異なりますが、実際に筆者が経験した黒服のメリットを解説していきます。
- バイトは時給が高い
- 正社員への昇進がはやい
- キャバ嬢と一緒にお酒が飲める
- まかない飯で食事代節約
- 送迎で交通費負担なし
バイトは時給が高い
黒服の時給は他の業種と比べて高い傾向にあります。夜時間帯の勤務であることに加え、客単価が高いことが主な理由です。
店舗により異なりますが、筆者の勤め先ではバイトの時給が1500円以上、正社員で月給50万くらい、店長は100万円ほどでした。
さらに、バイトなら日払いに対応している店舗も多々あるため、日銭の駆け込み寺としても黒服は人気です。
正社員への昇進がはやい
黒服の正社員になるために特別な条件やテストはありません。学歴や年齢、これまでの職歴よりも、黒服としての能力を重視されます。
黒服のバイトは10代後半〜20代くらいの若い世代が多いのですが、ある程度仕事ができるスタッフには、上司が正社員への打診をしてくることが多いです。
実際に筆者も黒服バイト時代に「店長にならないか?」とお誘いがあったわけですが、他のバイトと比較すると積極的に社員登用をしている業界です。
キャバ嬢と一緒にお酒が飲める
あまり知られていませんが、黒服も業務中はキャバ嬢と一緒にお酒を飲めます。お金がもらえるうえに綺麗な女性とお酒まで飲めるなんて、幸せな仕事ですよね!
では、どうすれば一緒に飲めるのかというと「お客様に気に入られる」「キャバ嬢に気に入られる」、この2つを満たすのです。
お客様に気に入られるのは想像しやすいと思いますが、キャバ嬢に気に入られると「おもしろい黒服がいるんだよ!」と話題にだしてくれる場合があります。
筆者も常連のお客様や指名のキャバ嬢の子に気に入られ、毎晩お酒を頂戴していました。一生懸命仕事していれば、思わぬご褒美があるのもこの業界ならではといえますね。
このような機会を得るためにも、黒服で働くならある程度はお酒に対する耐性をつけておくべきでしょう。
まかない飯で食事代節約
営業終了後に、残った食材でまかない飯を食べさせてくれることがあります。さらに店長によっては「ビール」などお酒までいただけることも!
食事やお酒をつくる人は「チーフ」というのですが、仕事をするうえで上司だけでなく別の役割をもつ人とも交流を深めることで、ちょっとしたサービスを受けられるわけです。
営業で肉体も精神もヘトヘトになっているときに、ごはんとお酒を無料でいただけたら最高ですよね!
ただし、店舗によってまかない飯の有無はまったく異なりますので、注意してください。
送迎で交通費負担なし
送迎はキャバ嬢だけの特権ではありません。実は黒服のバイトも対象なのです。運転手は別のスタッフがしますので、黒服が運転することはありません。
送迎は帰る方向が同じ人を同席させて配車します。この役割は店長だったり黒服バイトだったりと明確な決まりはありません。
帰る方向が同じなら、キャバ嬢の子と同じ車で帰宅することもあります。
ハードワークな黒服ですが、帰りが送迎ありだと少しリッチな気分も味わえますよ!ただし、店舗の立地によって変わってきますので、必ず送迎があるわけではありません。
黒服が天職!向いている人の特徴
黒服の業務は多々ありますが、天職かと思えるほど向いている人には共通の特徴があります。
基本的には接客業なので、コミュニケーションスキルが高いことは求められますし、お酒の絡む仕事なのである種のノリも重要です。
そのなかでも、頭1つ抜けて黒服が向いている人の特徴を解説します。
女性と話すことに抵抗がない
黒服として勤務するにあたって、女性と話すことが苦手だと致命的です。当然ながらキャバクラの店舗には大勢の女性がいます。こちらから話をしないといけないこともあるので、最低限の会話スキルはもっておきたいです。
普段から女性と話すことに抵抗もなく、スムーズに会話できる人はキャバ嬢との会話だけでなく営業中の連携もとりやすくなりますし、休憩時などでも会話が弾みます。
キャバ嬢のモチベーションを高めないと売上にも影響しますから、テンションをあげてあげるのも黒服として重要な業務でもあります。
トークスキルは才能ではありません。後天的に磨くことができる修得可能なスキルです。大学生になるまで女性と手を繋ぐことすらできなかった筆者がいうので、間違いないですよ!
人の世話をすることが好き
ある意味、世話好きだからこそ耐えられる業界ともいえます。なぜなら、黒服の業務には「後処理」があるからです。
この後処理とは、散らかったテーブルの対応や店舗の清掃だけでなく、酔った客や飲みすぎたキャバ嬢の嘔吐対応も含まれます。
正直なところ、筆者はこの対応がもっとも大変と感じていました。なぜなら、キャバ嬢より先に黒服が退勤することは御法度でしたので、なんとか正常に動けるようになるまで全力の介抱が必要だったからです。
いわゆるトイレのお世話。自分より他人を優先できるメンタルスキルが重要です。
体育会系のノリに対応できる
キャバクラはお酒が絡む場所ですので、無茶振りは日常茶飯事です。業務における上司からの無茶な注文もありますが、なによりお客様から「一発芸」を求められたときは少々対応に困りました。
ですが、その場を盛り上げることも黒服の業務ですので、体育会系並のノリで場の空気をよくするスキルは重要だといえます。
筆者はそこまでノリが良いタイプではなかったので、うまくかわすために「誰よりも仕事して上司に気に入られる努力」をし、キャバ嬢との連携をとるために初入店から数日で「すべてのキャバ嬢ネームを暗記」しました。
これにより苦手なことを避け、とくに大きなトラブルもなく勤務を続けることはできましたが、体育会のノリに順応できる人は最高のパフォーマンスを発揮できるのではないでしょうか。
元黒服が解説!キャバクラで働く1日の流れ
黒服の仕事は、お店の開店前から閉店後まで続きますが、やる作業自体は決まっており、ルーチンワークです。作業量が多くても慣れてしまえば苦労しません。
実際に筆者が勤務していたときの流れを解説していきますので、黒服の業務イメージが頭に描ければ幸いです。
開店準備
開店の2時間前くらいから、準備をはじめます。主な作業は下記です。
- 店舗内の清掃
- 備品やキャバ嬢の名刺などの補充
- テーブルセット
- キープボトル管理
- 当日の出勤情報チェック
黒服たちで作業を分担しながら、上司やキャバ嬢をお迎えします。
買い出し
お酒や食材、チャームなどの買い出しです。営業中に行う場合もありますが、慣れると足りないものは大方わかってきますので、開店前に済ませるのがデキる黒服です。
店舗の立地によるものの、基本的にキャバクラは繁華街で営業しますので、買い物も近場で済ませることがほとんど。徒歩か自転車でいける範囲内なので車の免許などは不要です。
営業中にお客様のお酒がなくなると売上に直結した被害が発生するので、念入りにチェックし在庫管理意識を高めておくことが重要です。
キャバ嬢のご機嫌とり
開店準備が完了すると、当日出勤のキャバ嬢たちが入店してきます。ここでモチベーションを高めてあげるのも黒服の重要な業務。
この業界では、お店のキャバ嬢に嫌われた黒服は生きていけません。当時、筆者に業務を教えてくれた先輩は、テキパキと仕事していたものの愛想が悪かったことでキャバ嬢たちから嫌われてしまい、事実上の解雇処分にされていました。
最大限の笑顔と愛想で、1日をスタートさせるのがコツです。
お客様の店前呼び込み
開店直後にお客様が来店することは多くありません。大体がキャバ嬢の営業メールや電話で呼ぶからです。
その間、黒服は店前に立ちひたすら通行する人たちに声をかけ続けます。移動することもなく完全に立ちっぱなしなので、この時間はもっとも辛かった記憶があります。
接客
接客のメインはキャバ嬢ですが、黒服には別の業務があります。それが「延長交渉」というもの。
お客様とキャバ嬢の空気を壊さないように、絶妙なタイミングで延長交渉を仕掛けます。ポイントは場の空気がもっとも盛り上がっているときに、さりげなく延長を提案すること。
この際にも事前にキャバ嬢の子と仲良くなっておけば、アイコンタクトでタイミングをとりやすくなります。キャバクラで売上を伸ばすには、地味ですが黒服も関わっているのです。
その他にもお客様と席についたキャバ嬢の相性が悪そうであれば、交代の指示をだして延長しやすくする業務もあります。
片付け
営業が終われば片付けです。疲れも限界に達しているところですが、店内の掃除があります。
筆者は手早くさっさと片付けてしまいたい性分だったのですが、送迎がくるまで店内で待機しているキャバ嬢たちの話し相手も、このときにしなければなりませんでした。
ここまでくれば、あと一踏ん張りです!
キャバ嬢へ送迎指示
送迎のドライバーが店舗に到着したら、帰りの方面が近いキャバ嬢へ指示をだしていきます。このときまでにキャバ嬢の酔い覚ましをしておかないと、車まで連れていくしかないので要注意です。
帰宅
至福のときです。この頃にはほぼ朝日が登っていますので、ゆっくりと車内で揺られながら自宅に帰り、はやめに寝ましょう。
まとめ|黒服はやりがいだらけ!若いうちこそ挑戦すべき職業
黒服の業務はたしかに多く大変です。ですが、働くうえでの注意点を確認し自分がどのように立ち振る舞いをすればいいのか理解していれば、メリットの多い職種でもあります。
夜の仕事なら時間も調整しやすく採用もされやすい黒服は、若いうちに経験してこそ多くのメリットを生み出す職種だと、筆者は過去の経験から感じています。
やりがいのある黒服にぜひ挑戦してみましょう!