高校中退者は最終学歴が中卒となるため、就職活動の募集欄に「高卒以上」と記載された求人には応募できません。
そのため、高校中退者は高卒・大卒よりも就職で不利となり、世間で言われるように正社員としての就職率が低いのは事実です。
「高校中退でもできる仕事はあるの？」と悩みや不安は尽きないものですが、高校中退・中卒であっても「学歴不問」の仕事であれば正社員として就職できるので安心してくださいね。
当記事では正社員として働きたい高校中退者におすすめの業界・職種、高校中退者がキャリアアップする方法などを解説します。
学歴関係なく就職できる場所を探している人は参考にしてください。
高校中退の就職率と就職が難しい理由
「実際にどれくらいの人が高校中退で正社員になっているの？」という疑問がありますよね。まず最初に高校中退者の就職率、そして正社員として働くことが難しい理由について解説します。
高校中退者の就職率は高くない
政府の調査によると、高校中退者の就職率は平成22年では65％でした。
これは、高校中退した人が3人いる場合、2人は就職できますが、1人は就職できないという結果です。
高卒の就職率は95,2％、大卒の就職率は91.1%となっているため、高校中退者の就職率は決して高い数字とはいえません。
しかし、「中卒・高校中退者だから正社員としては就職できない」というわけではないため、やる気や若さ、業界への関心、自分の得意分野など学歴以外のアピールポイントを持つとよいでしょう。
【参考資料】
高校中退の就職が難しい主な理由4つ
正社員として就職するにはハードルがいくつかありますが、高校中退で就職が難しい主な理由は以下の4つです。
大多数の求人の応募資格が高卒以上に設定されている
令和3年の文部科学省の発表資料によると、通信制などを含めた高校進学率は98.8%です。
このデータからもわかるように、経済的な理由や健康上の理由、その他の特別な理由がない限り、日本では「高校進学が当たり前」という風潮があります。
そのため、正社員採用をする企業では求人の応募資格を高卒以上に設定することが多いです。
高校中退に対してマイナスイメージがある
企業が高校中退に対してマイナスイメージがあるのも、就職が難しい理由といえます。高校中退では、「採用してもすぐに辞めてしまうのでは？」と思われがちだからです。
ただし、企業の採用担当者の価値観に左右される部分が大きく、応募書類や面接などでマイナスイメージをいかに塗り替えられるかがポイントになります。
年齢が若過ぎる
業界や企業によっては、年齢が若過ぎることで正社員としての採用を見送っていることがあります。
特に、18歳未満の場合は、年齢が若過ぎて社会人としての常識があるか不安になる、既存社員の年齢層とのバランスが悪い、といった点で敬遠されることもあるでしょう。
18歳未満ではできない・向かない仕事がある
18歳未満ではできない・向かない仕事があるのも、高校中退での就職が難しい理由です。実際に、18歳未満では、法律上の制限でできない仕事があります。
たとえば、夜間営業の飲食店など、午後10時～午前5時までが勤務時間となる仕事です。また、専門知識やスキルが必要な業界や職種で即戦力を求めている場合、高校中退者への求人は少なくなります。
中卒と高校中退では何が違う？共通点は？
皆さんは、「中卒」と「高校中退」の違いをご存じでしょうか？ここでは、両者の主な違いについて詳しく見ていきます。
中学卒業後に進学していないのが中卒
中卒は、中学卒業後に進学していない状態です。家庭の事情などで進学できなかった、勉強が好きではなくて進学する意思がなかったなどが主な理由になります。
義務教育は終了しているものの、大多数が高校に進学する今、中卒では社会人として未熟だと思われる傾向があり、就職先を選びづらいのが現状です。
高校へ進学後に退学したのが高校中退
高校中退とは、中学卒業後いったん高校へ進学したものの、さまざまな事情により退学した状態のことです。
企業によっては、高校入学程度の学力があると判断してもらえる可能性もあるでしょう。ただし、高校中退の理由によっては、マイナスイメージを持たれて不利になることもあります。
中卒も高校中退も最終学歴は「中卒」扱い
中卒も高校中退も、最終学歴は中卒扱いとなります。学歴は、あくまでも卒業していることが前提になるからです。
高校中退は、高校に入学した事実はあっても、学歴で見れば中卒と変わらない扱いになることは、しっかり認識しておきましょう。
面接では、高校中退の理由を必ず聞かれるので、簡潔かつ正直に伝えてください。
ネガティブな理由はポジティブな理由に言い換えることで、面接でのアピールにつながります。
たとえば、勉強についていけなかった場合は、「より興味のある分野を勉強したくなった」と言い換えられます。
学校生活が合わなかった場合でも、「在学中のアルバイトの経験により、早く社会に出て働きたくなった」などとアピール可能です。
また、「高卒認定試験にチャレンジする予定だ」と伝えると、高校中退のマイナスイメージをプラスイメージに変換できます。
高校中退でも就職できる業界は？主な理由は？
高校中退であっても、問題なく就職できる業界もあります。主な理由を含め、詳しくご紹介します。
高校中退でもできる仕事はどんな業界に多い？
高校中退でも、さまざまな業界で仕事ができます。たとえば、以下のような業界です。
- 常に人材が不足している業界
- 積極的に若い人材を採用している業界
- 特別なスキルや経験が不要な業界
- 急成長中の業界
具体的には、アパレル・美容・土木・介護などです。職種としては、接客・営業・製造・現場作業などで、積極的な採用が見られます。
男性は体力勝負の仕事が多く、女性は高いコミュニケーション能力が求められる仕事が多いのが特徴です。
また、高校中退・中卒であっても公務員としての就職が可能です。ただし、必ずしも希望の職種での募集があるとは限らず、不定期・若干数の採用となり、狭き門なので注意してください。
国家公務員の募集状況は人事院のホームページ、地方公務員は地方自治体のホームページなどで、募集状況をこまめにチェックしてみるとよいでしょう。
高校中退でも活躍できる理由は？
高校中退でも、さまざまな業界で活躍できます。主な理由は、未経験でも若くて将来性があることなどです。
また、企業によっては、学歴よりも人物とやる気を重視してもらえることもあるでしょう。
「自分にできる仕事はないのではないか？」などと考えず、常に前向きに行動していきましょう。
16歳・17歳の高校中退者でできる仕事や注意点は？
高校中退者、かつ、16歳・17歳のケースでできる仕事や注意点について、具体的に見ていきましょう。
未経験者歓迎・学歴不問の業界や職種で正社員を目指せる
高校中退者、かつ、16歳・17歳でも、未経験者歓迎・学歴不問の業界や職種を中心に求人があります。
たとえば、この記事でご紹介したような、美容・アパレル・飲食・土木などの業界が狙い目です。
ただし、必ずしも正社員での求人とは限らず、契約社員・アルバイトといった非正規雇用が前提となるケースも多いので、注意してください。正社員として安定した仕事をしたいのなら、雇用条件を確認してから応募しましょう。
また、非正規社員からの正社員登用を積極的に行っている会社もおすすめです。
18歳未満は就業時間に制限がある
未成年者（18歳未満）は、午後10時～午前5時まで仕事ができません。16歳・17歳の場合、労働基準法の終業時間の制限により、正社員・契約社員・パート・アルバイトのいずれの雇用形態であっても働くことができないのです。
もしも、18歳未満が午後10時～午前5時に仕事をすると、雇用主となる企業が法律に違反していると見なされます。夜間帯の職種で働きたい場合は、18歳の誕生日を迎えてから検討しましょう。
高校中退者のキャリアプランを4パターン紹介
ここでは、高校中退の皆さんが自分に合った仕事で活躍するためのキャリアプランを4パターンご紹介します。
ハローワークの活用
高校中退者が就職先を探す方法の一つとして、ハローワークの活用が挙げられます。ハローワークは公的機関のため、信頼性が高い点がメリットです。今は、若年者向けのサポートを受けられることがあるので調べてみるとよいでしょう。
ハローワークは、学歴に関係なく15歳以上で労働意欲のある人なら誰でも利用可能です。
また、ハローワークを経由して職業訓練校に通えば、知識を学びながら就職先を探せます。条件が合えば給付金を受けながら通えるので、チェックしてみるとよいでしょう。
就職エージェントの活用
就職エージェントの活用も、高校中退者が就職先を探すのに有効な方法です。
就職エージェントには、数多くの企業からの求人情報があるため、ハローワークにはない求人や希望条件に近い就職先を紹介してもらえます。
また、履歴書の書き方や面接のコツなども教えてもらえるので、とても有意義です。
ただし、就職エージェントにもさまざまな種類があるので、しっかり見極め、高校中退者に強い就職エージェントへ登録・活用しましょう。
また、複数の就職エージェントに登録することで、より多くの求人から、自分に合った就職先を探せます。
高卒資格の取得や大検受験も考えてみる
もっと幅広い仕事をするために、高卒資格の取得や大検受験も考えてみましょう。たとえば、通信制高校や夜間高校に入学する方法があります。高卒資格を取得すれば、高卒以上が条件の求人に応募可能です。
また、大検受験を突破し、大学へ進学して卒業すれば、さらなる活躍も期待できます。いったんあきらめた進学をを成し遂げられれば、大きな自信につながって、今後の人生が開けるはずです。勉強することが嫌いではないのなら、前向きに検討してみましょう。
アルバイトなどからのステップアップも
まずは、アルバイトなどで働いて正社員にステップアップする方法もあります。アルバイトは学歴を問わず未経験者を積極的に採用しているため、希望の業界や業種で経験を積むことを第一に考えましょう。
アルバイトとして働くうちに、知識やスキル、社会人としての経験や信用が生まれます。アルバイトで納得のいく職場や仕事があれば、そこで正社員を目指してみるのもよいでしょう。
まとめ
高校中退でも、正社員としての就職は十分に可能です。まずは、高校中退者を歓迎している企業や業界を幅広く探してみましょう。すると、学歴を問わずに本人の人物像ややる気を見て採用してくれる企業があるものです。
自分がどんな仕事をしたいのか、どんな仕事に向いているのかをよく考えてみましょう。就職先を幅広く探すために、ハローワークや高校中退に強い就職エージェントを活用するのもよい方法です。
しかし、高卒以上を応募条件とする企業が多いのも事実です。たとえば、アルバイトから実績や経験を積んで正社員にステップアップする方法もあります。また、高卒資格の取得や大検合格後に大学に進学し大卒になれば、さらに幅広い仕事へのチャレンジも可能です。自分の将来をよく考えて、ステップアップする方法も検討していきましょう。
